この記事では、新入社員がより良く仕事が行えるようにサポートする「フォローアップ面談」についてお伝えしていきます。
フォローアップ面談の進め方や実施するべき時期について徹底解説します。さらに、フォローアップ面談で確認するべきことをはじめ、質問例や面談時の注意点についても紹介していきますのでぜひ最後までご覧ください。
フォローアップ面談とは
フォローアップ面談とは、入社後定期的に行う面談およびカウンセリングのことを指します。面談により新入社員の職場や仕事に対する課題や悩みを把握し、早く会社組織に溶け込めるようにサポートすることが目的です。
普通の面談とは何が違うのか?
普通の面談の多くは、上司が部下を管理や評価する目的で行われます。話す内容も、目標や評価に関することなど上司が必要な情報を聞き、組織にとって必要な事柄や評価の伝達がメインです。
それに比べフォローアップ面談は、新入社員の現状と課題、なりたい姿などをヒアリングで探りながら、言いづらい本音を聞き出していきます。フォローアップ面談は、普通の面談よりも新入社員に寄り添った面談と言えるでしょう。
フォローアップ面談の重要性とその効果
フォローアップ面談の重要性とその効果について解説していきます。
正確に新入社員の悩みの把握とフォローができる
フォローアップ面談は、新入社員の悩みを正確に把握するための重要な手段です。新入社員の悩みは多岐にわたり、日常の会話だけでは悩みの根本を突き止められません。フォローアップ面談で丁寧に聞き取りを行うことで、新入社員の抱える悩みを知ることができるのです。
フォローアップ面談では、仕事の目標と現状におけるギャップや伸び悩み、目標の認識へのズレなどの確認を行います。それをもとに、問題や解決方法を一緒に考え、より効率よく目標達成に近づくためのフォローができるのです。
人材育成や新入社員のモチベーション向上に繋がる
面談担当者は、適切なフィードバックを行い、新入社員自身が納得したうえで課題と向き合い、振り返りできるような働きかけを行います。
これらは、優秀な人材の育成にも繋がるでしょう。加えて、フォローアップ面談では、本人の行動に対する評価とその理由をきちんと伝えます。そうすることで、新入社員の課題が明確となり、具体的なアクションを起こしやすいため、モチベーションをアップさせられます。
勤続年数が2.3倍に改善
ITソリューションを提供する株式会社ネクストスケープは、年間で60人の中途採用を行い、そのうち50人が辞めていっていたのに対し、フォローアップの制度を整えることで、勤続年数を2.3倍に改善できたと、インタビュー記事の取材で答えています。
次の章の面談の進め方で詳しく解説していきますが、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月のタイミングでフォローアップ面談を行うことで、勤続年数をぐんっと伸ばすことに成功したそうです。
面談の進め方
ここでは、フォローアップ面談の進め方を解説していきます。
面談をすべき時期
新入社員の置かれる状況や考えは、日を追うごとに変化していくことから、フォローアップ面談は定期的に行うのが望ましいです。フォローアップ面談をすべき時期とその時期に適した面談内容を見ていきましょう。
入社1カ月目
新入社員は配属されたばかりで、具体的な悩みや課題を聞いても答えられない場合が多いです。コミュニケーションをとることに重きをおいて面談を実施しましょう。新入社員が担当する仕事の意味や、会社における職場の位置づけなどの話をして、理解を深められるようにします。
入社3カ月目
仕事や職場に慣れはじめ、具体的な悩みや課題を持つようになる時期です。新入社員によっては、ストレスを抱えている人もいるでしょう。新入社員の悩み・課題に耳を傾け、解決策を一緒に考えます。必要に応じて新入職員のOJT担当者や直属の上司への働きかけも必要です。
入社半年後
新入社員も仕事に慣れ、仕事を進めていく上での悩みや課題が具体的に出てくるようになります。新入社員に知識・スキルが定着してきているので、主体的に目標を決めてもらいましょう。モチベーションが低下している人に向けては、仕事の目的をはじめ、社会的役割を再認識させましょう。
入社1年後
新入社員は、仕事や職場に馴染んだ状態です。面談では、キャリアプランを中心に話し合いましょう。現在の職場でさらに専門性を深めたい人やさまざまな仕事を経験したい人もいるはずです。新入社員の考えを聞き、キャリアプランのサポートを行いましょう。
面談の対象
フォローアップ面談は、まだ職場に慣れていない新入社員や中途採用で入社した社員といった新人が対象です。
人事や人事担当者が、中長期的および全社的視点から関わることにより、新人の職場環境や働き方をより良くする支援を行います。
面談を担当するのは人事?上司?
フォローアップ面談は、直属の上司以外の人事担当者などが行うのが望ましいです。直属の上司であれば日々新入社員に接しており、業務上の課題にも速やかに対応できるので適任だと思う人もいるでしょう。
しかしながら、もし新入社員が感じている問題やストレスの原因が上司本人であれば、相談することができなくなってしまいます。上司からは事前ヒアリングで業務や職場で気になることはないか確認するにとどめ、詳しい問題の把握は人事担当者などが行いましょう。
フォローアップ面談で確認すべきこと
ここでは、人事がフォローアップ面談において確認すべきことをお伝えしていきます。
普段の業務について
仕事の状況と、職場における自身の状況についてどのように思い、どう感じているのかを新入職員に聞き、普段の業務の現状を把握しましょう。
さらに、新入社員の仕事へのモチベーションや現状での仕事に対する満足度を確認していきます。この時に上司の評価とともに、新入社員が仕事を通してどのくらい成長できているかや、仕事への希望を伝えることで新入社員のモチベーション向上を図ります。
勤務状況や給与などの処遇について
新入職員の勤務状況や給与などの処遇に対する満足度を、有給休暇の取得や勤務時間といった勤務状況と照らし合わせて確認していきましょう。
働き方への不満の有無を聞き取りながら、新入職員の働き方について前向きなコメントを伝えることが大切です。
職場の人間関係について
上司やチームなど新入社員を取り巻く職場での人間関係についても、聞き取りを行います。職場の人間関係は良好か否かや、コミュニケーションを取りながら業務ができているのか、職場以外でも交流があるのかなどを確認していきます。
新入職員の今後について
フォローアップ面談を通じて仕事における新入職員の現状を把握したところで、新入職員自身が具体的に今後どうなっていきたいのかを確認しましょう。
希望を聞いていくなかで、優先して変えていきたいことを絞り込み、最終的にどのような状態であることが望ましいのかを固めていきます。
フォローアップ面談の質問例
ここでは、フォローアップ面談の質問例を紹介していきます。
新入社員の現状を確認する質問
「最近の仕事の状況はどうですか?うまくいっていますか?具体的に聞かせてください。」
「どのような業務に取り組んでいる時に楽しいと感じますか?」
「気が進まないことや、大変だと感じることはありますか?」
具体的な事実に基づいて、新入社員の現状を確認していくようにしましょう。
新入社員が気になっていることを確認する質問
「これまで話してくれた内容のなかで、一番気になる事柄はどれですか?」
「一番気になっていることが解消されたら、職場やあなたはどんな状態になると思いますか?」
気になることがあるなかで、何を一番に変えていきたいのかを聞いていきます。そして、望ましい状態を一緒に考えていきましょう。
望ましい状態となるためにどうするべきか考えさせる質問
「〇〇な状態にしたいなら、△△のようなことができると思いますが、どうですか?」
「課題達成が一人では難しいようなら、先輩と一緒にやってみるのはどうですか?」
望ましい状態が分かったら、どうすればその状態に近づけるかを一緒に考えていくと良いでしょう。本人の力だけでは達成が難しいようであれば、人事としてサポートできる旨を伝えます。
本人の行動意欲を確認する質問
「この面談で色々な案が出ましたね。明日から実際に行動していけるような具体的なイメージはできたでしょうか?」
新入社員が具体的に行動できるイメージが持てない場合は、行動を具体化できるレベルとなるまでサポートしましょう。
面談時に注意すべきこと
ここでは、フォローアップ面談時に注意するべきことを紹介していきます。
事前準備をしてから面談に臨む
面談担当者は、事前に新入社員への質問事項を考えてから面談に臨むようにしてください。
これまでの研修状況を振り返るなどの下準備により、限られた時間のなかで話を的確に聞くことができ、面談がより有意義になるでしょう。
プライベートな話に踏み込みすぎない
プライベートな話題を持ち掛ければ、簡単に打ち解けざっくばらんに話しやすい雰囲気になれることもあります。
しかし、新入社員のなかには根掘り葉掘り聞かれたくないと感じる人もいます。プライベートな話題に踏み込みすぎないように注意しましょう。
威圧的な態度をとらない
威圧的な態度や、いかにも面倒臭そうな態度で面談を行ってしまうと、新入社員は「この人に話しても解決できない」と感じる恐れがあります。このような態度は、面談担当者自身が無自覚にやってしまうケースが多く、ふとした言葉の端々に現れやすいものです。
したがってフォロー面談を行う際には、人選にも配慮しましょう。そして、新入社員が話しやすい物腰の柔らかな話し方を意識すると良いです。
面談担当者が一方的に話しすぎない
面談担当者の最も重要な役割は、新入社員の話をきちんと聞くことです。
面談担当者が一方的に、「こうあるべき」などと話してしまうと、新入社員の悩みや相談が解消されるどころか悪化してしまう可能性もあります。新入社員の話を聞いたうえで、一緒に解決を目指す会話の展開をしていきましょう。
わずかな表情や行動の変化を見逃さない
新入社員が話す会話のなかには、さらに質問をして掘り下げるべきことが含まれている場合があります。
それを見逃してしまうと、せっかくフォローアップ面談を行っても表面的な話をしただけで終わってしまう恐れもあるのです。面談担当者は、新入社員の根本的な問題や悩みを理解するためにも質問を重ねて深堀していきましょう。
新入社員のプライバシーを守る
面談内容がパワハラやセクハラといった深刻な相談である場合には、加害者の耳に入る可能性を考慮して別途話し合いの場を設けるようにします。
面談担当者は、新入社員のプライバシーを重視しながら、環境改善に努めましょう。
深刻な内容の場合は、第三者機関への相談を検討する
もし、対応の仕方に困った場合は、社会保険労務士や弁護士への相談を検討しましょう。そして相談内容を第三者に共有する場合は、社内外を問わず新入社員本人からの許可を取る必要があります。
まとめ
フォローアップ面談とは、新入社員が抱える悩みや課題、解決方法を一緒になって考える面談方法の一つです。
直属の上司ではなく、人事担当者など普段直接関わりが少ない人が面談するからこそ打ち明けられることもあります。悩みを打ち明けやすい空気づくりを意識し、新入社員が職場や仕事に馴染めるようサポートしていきましょう。
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