内定者研修とは?内定者研修の内容・注意点・他社事例

入社までに関係値を高め、入社後の質を高めよ!

さて、今回のテーマは「内定者研修」です。

人事・採用ご担当者様の間では耳にすることの多いワードかと思いますが、実際に内定者研修を実施したことの無い方も、多いのではないかと思います。

「内定者研修って何をすればいいの?」
「どんな内定者研修プログラムがあるの?」
「それぞれの“落とし込み”は、どこにあるの?」
「内定者研修を通して、どのようにフォローすると良いの?」

この様なご要望にお応えすべく、内定者研修の目的から事例までまるっとまとめました。

内定者研修とは

内定者研修とは内定者研修とは、企業が採用した内定者(学生)に対して実施する研修のことです。

主に入社するまでの心構えの確認や、モチベーションアップを目的とした内容の研修を実施する企業が多く、具体的な業務に関する研修を行う新入社員研修とは目的が異なります。まずは内定者研修の目的から確認していきましょう。

内定者研修の目的は?

内定者フォローとしてほとんどの企業が取り組んでいる内定者研修ですが、実際に会社へ来てもらい、マナー研修を行ったり、研修施設を借り、宿泊研修を行う企業、またはe-ラーニングを取り入れる企業など様々です。

内定者の不安を解消する

内定者研修を実施する大きな目的の一つは、学生から社会人への切り替えや、企業理念の継承や即戦力化の研修です。企業理念の継承、技術面での研修も重要なのですが、今の学生たちのケアとして重要なのがメンタル面です。

近年の採用の現場は売り手市場のため、多くの学生が複数企業から内定をもらっています。内定をもらった学生にとっては、初めて社会人として働く会社がどのような会社なのか、どのような先輩がいてどのように活躍できるのか、数回面接を受けただけでは分からず多くの不安を抱えています。

株式会社ラーニングエージェンシーが行った「内定者意識調査」でも75.4%の内定者が入社前に不安や心配な気持ちを抱えていることがわかっています。

入社前の不安

株式会社ラーニングエージェンシー「内定者意識調査」

内定者研修を行うことで内定者の不安を解消し、また可能な限り入社モチベーションを高く維持してもらえるよう促すのが内定者研修の目的といえます。

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内定辞退を防ぐ

内定辞退を防ぐことも、内定者研修を行う目的の1つです。人材不足に加え、コロナ禍で先の見えない就職活動を行っている学生は複数内定を保有し、後から辞退する傾向が強まっています。

内定を1つもらっていても満足せず、更に良い条件で他社から内定が出るのではないか、もっと自分に合った企業が見つかるのではないかと考え、後から複数社の内定辞退をするケースが後を絶ちません。

リクルートワークス研究所の調査によると、2022年3月卒業の大学生・大学院生の大卒求人倍率は 1.50 倍で、新型コロナウイルスの感染拡大による経済停滞により採用に慎重になっている企業はあるものの、従業員規模1000人以上の大手企業を中心に採用意欲が回復しています。

中小企業を希望する学生が減少しているという結果も出ていることから、今後ますます採用獲得合戦が激しくなり優秀な学生の内定辞退を防ぐことが求められてきます。内定者研修を通して学生の心が他社に移ることを防止することは非常に重要な取り組みといえます。

内定者研修でやるべき内容

内定者研修を実施する目的が理解できたところで実際にどのような内容を実施すればいいのでしょうか。

業界や業種によって実施する内容は異なると思いますが、ここでは一般的な事例の中でおすすめの内容を4つご紹介をしていきます。

グループワーク

グループワークを通して内定者同士の親睦や思考力を育成する狙いがあります。

日本経済団体連合会の調査によると、新入社員に期待する資質・能力・知識として「課題設定・解決能力」「論理的思考力」「創造力」が上位にあげられています。

例えばゲーム系のコンテンツを用いたグループワークもお勧めです。楽しみながら内定者同士の親睦を深めるだけでなく「問題解決能力」「強調性」を養うことができます。

社会人への意識転換

社会人経験がない学生にとっては、入社後に突然社会人としてのスイッチに切り替えるのは難しいものです。内定者研修の中で、現場の見学や業務のレクチャーを行い、具体的な仕事内容をイメージしてもらうことで社員の一員としての自覚を促すことが可能です。

また、内定者研修を通して「社会人とは何か・学生との違い・求められること」などを内定者自身に考えてもらう時間を作り、残りの学生生活で足りない部分を補う意識を持ってもらうのも効果的でしょう。

内面の意識変化を図ることで、入社後早期に活躍できる状態をつくることが大切です。

先輩との交流会

採用面接を受けている段階では企業の人事や役員との接点しかないため、内定者の中には自分が入社する会社にどのような社員がいるのかを知りたいと思っている人も多いでしょう。内定者研修で先輩社員と交流する場を設けることで、不安を解消するきっかけになるかもしれません。

先輩との交流会では、先輩社員に直接質問をしてもらったり、先輩が新入社員の頃に経験した仕事の失敗談や学んだことを語ってもらうといった企画がおすすめです。内定者の不安を解消して安心して入社をしてもらうことに繋がります。

ビジネスマナー

内定者研修にビジネスマナー研修を取り入れ、OAスキル(ExcelやWord、Powepoint)、身だしなみ、名刺交換の方法やビジネス文書の書き方をレクチャーするのも良いでしょう。

例えば営業職で入社をする場合、入社後に先輩社員に同行してクライアントを訪問する機会があると思います。クライアントを訪問するために、相応しい身だしなみの理解やスムーズな名刺交換ができることで、入社後の現場の負担を減らすことにも繋がります。

入社後早期に活躍いただくためにも実施しておくと良いでしょう。

内定者研修を実施する時期・頻度・期間

多くの企業では10月1日に内定式を実施するため、内定者研修の時期は内定式の前後から入社までの間に複数回に渡って実施するケースが多いです。期間は1〜2日の研修もあれば、数週間の研修まで企業によって異なります。

しかしながら先述したように、内定者研修の目的は「内定者の不安を払拭すること」「内定辞退を防ぐこと」にあります。そのため、1度や2度程度の研修よりも、継続的に行った方が内定者研修の効果は得られやすいでしょう。

時期の例 やる内容
内定式の前後 同期との親睦を深める・関係性を強化する・先輩社員との交流
内定式後~入社まで 社会人への意識転換・ビジネスマナー構築

内定者研修を行う際の注意点やポイント

内定者研修の実施方法によっては企業側が期待していた効果を得られないことがあります。貴重な機会を無駄にしないためにもこれからご説明する2つのポイントを抑えましょう。

目的やカリキュラムを設定する

内定者研修を通して内定者にどのような状態になってもらいたいのか、研修を実施する企業側の事前準備は大切です。採用担当だけでなく、研修に関わる社員全員が共通認識を持って研修に参加するようにしましょう。

Who:誰に → 内定者全員に実施するのか特定の職種に絞るのか
What:何を → 具体的な研修内容
When:いつ → 実施時期
Where:どこで → 本社なのか研修施設なのか
Why:なぜ → 研修の目的は何か
How:どのように → 対面なのかオンラインなのか

内定者に強要や強制はしない

内定者研修には内定辞退を防ぐ目的があることをお伝えしましたが、内定者を囲い込みたい思いが強くなるあまり、研修への参加を強制することは避けましょう。

また、他社の内定を辞退するように促したり、価値観を押し付けるような言動をすることがないように気をつけましょう。内定者のモチベーションを下げてしまったり、場合によっては会社への不信感に繋がることもあります。

あくまでも内定者の不安を解消し、意欲を引き出すような関わり方を心がけましょう。

内定者研修に必要なチームビルディングとは?

横のつながりを強化するために、必要なのがチームビルディングです。

チームビルディングとは、同じ一つのゴールに向かい、複数のメンバーが個々の力を最大限に発揮し、一丸となれる組織作りのことを言います。
企業での活動も同様、一見、別の仕事をしていてもゴールは同じ、共通のゴールに向かい、各部署の人間が協力して力を出しあいます。その際にいかに互いが尊重しあえるかが重要になってきます。何事も最初が肝心と言いますが、人間関係も同じです。

入社後は各部署・各地域に配属が決まり、内定者同士もバラバラになることが考えられますが、とはいっても同じ会社に所属している人間です。業務上、関わる場面も出てくるでしょう。

その際にいかにお互いの意見が言いやすいか、意思疎通が出来るか、企業としての成功要因に繋がってきます。
そのためには全員が集まれる、この内定者研修が大きな要となってきます!
この時期に絆をしっかり結んでおきましょう!

重要なのは落とし込み

内定者研修には、しっかりとした落とし込みがあります。大きく、下記4点です。

【1】共通目的の認識の重要性しっかりとチーム内で意思疎通が出来ていたか。
【2】構築の検討⇒計画を練り、成功までのプロセスを確認できていたか。

【3】発想の転換⇒固定観念に囚われていなかったか。

【4】PDCAサイクルを回すことの体感⇒組み立ててダメだった場合の対処法はどうだったか。

などなど…感じることも人それぞれなので、企業ごとに落とし込みがあることでしょう。
担当者の方の腕の見せ所がこの落とし込みです!

ただ単に楽しかった、で終わるのではなく「体感を通し、学べたことがあった」と認識してもらうことも重要です。
このワークを通し、何を伝えたいのか、練ってワークに挑んでください!

とはいえ、気づけば、笑顔で夢中でタワーを建て、ああでもない、こうでもない、とお互いの意見を言い合える関係になっていることは今後の同期間の関係性においての財産になることでしょう。

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おすすめ内定者研修事例集×3選

ここでは他社の内定者研修の事例を紹介します。ユニークな研修を実施している企業もありますので、自社の強みとしてアピールしていきたい企業は参考にしてみてください。

マシュマロチャレンジ

内容

マシュマロをたくさん食べる、というものではありません!笑
ルールはシンプルです。
「パスタ・マスキングテープ・タコ糸・マシュマロ・はさみ」を用い、チームごとにタワーを作ります。
そのタワーの一番上に乗せたマシュマロの位置が、一番高いチームが勝ちです。高さを競い合うシンプルなルールですが、これが非常に盛り上がります!

落とし込みポイント

チーム戦となりますので、何よりチームワークが重要となります。
計画性はあるか?役割分担はできているか?時間配分はできたか、、、?など、落とし込みポイントは多く、白熱すること間違いなしの内容です!

他己紹介

内容

「2人組でお互いに数分間のインタビューを行い、その内容を使って相手を皆に紹介する」というシンプルな内容です。

落とし込みポイント

シンプルな内容ですが、意外に実施する機会が無いのが他己紹介です。
初めて会った人のことを、時間内にどれだけインプットできるか&アウトプットできるか。
相手のことを知るための「情報収集力」、自分のことを伝えるための「コミュニケーション能力」などが必要になります。
お互いを知らない内定者たちの会話のきっかけにもなります。

NASAゲーム

内容

こちらは、有名なコミュニケーション研修です。
「月に機械の故障で不時着した宇宙飛行士が約200マイル(約320km)先の母船を目指すため、手持ちの15のアイテムを取捨選択する。」というシチュエーションのゲームです。
15のアイテムの中には「生存に必要なもの」から逆に「まったく無意味なもの」まで含まれており、これらに優先順位をつけていきます。

落とし込みポイント

チーム内で相談や説得などの「コミュニケーション能力」、現実にはまずありえない状況を想像する「想像力」などが必要になります。
またこのゲームにはNASAが公開している模範解答がありますので、単純なゲームとしても楽しめるものになっています。

内定者フォロー事例集ダウンロード

内定フォロー事例

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他にどんな事例があるのか?もうちょっと知りたい、、!という人事・採用ご担当者様は必見です!
キャリアマートでは、内定フォローと題し、事例集としてお纏めしておりますので、是非お気軽にダウンロードいただけますと幸いです!

まとめ

今回ご紹介した内定者研修は、ゲームでありながら社会人スキルを鍛える訓練でもあります。「振り返り」という名の落とし込みを学生に返し、しっかりと身に着けてもらいましょう!
また、内定者間の親密さを増すきっかけにもなりますので、紹介したもの以外にも検討してみてください。

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