従業員が入社してすぐに活躍できる環境を整えるために、入社準備は確実に行わなければなりません。しかし、入社手続きは様々な書類を準備したり、各部署とやり取りしたりなど、やるべきことは多岐にわたる上に、期日が決められています。
また、働き方の多様化によって人事担当者の負担が増え、日々タスクに追われている方も多いのでないでしょうか。
そこでこの記事では人事担当者に向けて、会社側、従業員側のそれぞれが用意する書類や行うべき手続きなどをわかりやすく紹介していきます。
入社手続きと併せて、おすすめの人事労務システムも紹介していきますので、ぜひご活用ください。
入社手続きに必要な書類の準備
従業員が入社するとき、準備しなければならない書類が会社側と入社対象者側、双方にあります。ここでは、それぞれが準備するものを見ていきましょう。
会社側で準備するもの
まずは、入社手続きの際に会社側が準備する主な必要書類を5つ紹介していきます。
採用通知書
採用通知書、または内定通知書は、会社が応募者を内定した際に送付する証明のようなものです。採用通知書には、内定した旨と一緒に、応募のお礼や担当者の問い合わせ先、入社日などの詳細を記載すると良いでしょう。
採用通知書は交付の義務がありませんが、一度通知書を交付したら会社側の都合で内定取り消しができないため注意が必要です。
また、採用通知書には、決まったフォーマットがありません。そのため、会社で作成する必要がありますが、難しい場合は、Web上のフォーマットを使用すると便利です。
入社誓約書・承諾書
入社誓約書・承諾書は、内定者が採用に応じることを誓約する書類で、採用通知書の返答ともいえます。この書類は内定・入社の同意だけでなく、就業規則や待遇、機密保持、履歴書の取り扱いなどへの同意も一緒に得る場合があります。
入社誓約書・承諾書は採用通知書と同様に送付の義務はありませんが、内定後の辞退を防ぐために書類を交わしておくのがおすすめです。
雇用契約書・労働条件通知書
雇用契約書・労働条件通知書は、内定者が企業の労働条件に同意することを証明する書類です。企業と内定者の間で労働条件の認識をそろえ、トラブルが発生しないように交付します。
一般的な記載内容は、労働契約期間や就業場所、従事する業務内容、始業・終業時刻などです。
どちらも似たような書類ですが、雇用契約書には作成義務がなく、労働条件通知書には作成及び従業員への通知の義務があります。
扶養控除等申告書
扶養控除等申告書は、扶養家族がいる場合、所得税控除を受けるために、年末調整時に必要な書類です。扶養する家族の有無に関わらず必ず提出してもらわなければなりません。
健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届
健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届は、扶養家族がいる場合にのみ提出してもらう書類です。社会保険に加入する手続きの際に必要になります。
入社対象者に準備をお願いするもの
ここからは、入社対象者に準備をお願いする主なものを解説していきましょう。
年金手帳
年金手帳に書かれている基礎年金番号が、健康保険や厚生年金保険の加入手続きの際に必要になります。万が一、入社対象者が年金手帳を紛失していた場合、基礎年金番号通知書の再交付をお願いし、迅速に対応してもらいましょう。
前職の源泉徴収票
入社対象者が転職者で、同じ年に退職し入社した場合は前職の源泉徴収票を準備してもらわなければなりません。源泉徴収票は年末調整の時に必要です。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、雇用保険の手続きの際に必要な書類です。入社対象者が転職者で雇用保険被保険者だった場合にのみ提出してもらいます。
万が一、入社対象者が雇用保険被保険者証を紛失していた場合は、前職の会社またはハローワークに問い合わせて再交付してもらう必要があります。
マイナンバーが記載された公式文書
社会保険・雇用保険の加入手続きや年末調整の際にマイナンバーが必要です。そのため、入社対象者には、マイナンバーが記載された公式文書を提出してもらいましょう。
マイナンバーが記載された公式文書とは、マイナンバーカードや通知カード、マイナンバーの記載がある住民票の写しのことです。
給与振込先の届書
給与振込先の届書とは金融機関の口座情報が書かれているもので、入社対象者が働き始め、給与を振り込む際に必要になります。
口座情報が記載できる書類を会社側で用意する、もしくは入社対象者に口座情報が記載されている通帳のコピーをお願いするなどの方法があります。
その他採用に必要な書類
以上で紹介した書類以外に、卒業証明書や運転免許証、住民票や退職証明書など、採用にあたって必要な書類がある場合は、それらも提出してもらうよう、入社対象者に伝えましょう。
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法定三帳簿の作成
労働基準法により、会社は入社対象者の労働者名簿、賃金台帳、出勤簿の法定三帳簿を保管する義務があります。それぞれの記載内容は以下の通りです。
労働者名簿
・氏名
・生年月日
・性別
・履歴
・住所
・業務の種類
・雇入の日付
・退職の年月日・事由
・死亡の年月日・原因
賃金台帳
・氏名
・性別
・賃金計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数
・基本給、手当
・賃金の控除額
出勤簿
・出勤簿、タイムレコーダーの記録
・使用者が始業、終業時間を記録した書類
・残業命令書、報告書
・労働者が記録した労働時間報告書
行政手続き
次に、会社側が行うべき保険や税金などの行政手続きについて紹介していきます。
健康保険・厚生年金保険
新しく従業員が入社したら、会社側は条件を満たした従業員を健康保険と厚生年金に加入させることが法律で義務づけられています。年金事務所や事務センターに、健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を提出しましょう。
雇用保険
31日以上雇用する見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上の学生ではない従業員は、雇用保険に加入しなければなりません。会社は、ハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出しましょう。
税金
保険以外に、所得税と住民税の手続きも必要です。所得税の手続きをするには入社対象者に扶養控除等申告書を提出してもらい、源泉徴収の内容を記録した源泉徴収簿を作成します。
住民税は個人で負担する普通徴収か、給与から天引きされる特別徴収かによって手続き方法が異なります。入社対象者が新入社員で、前職の収入がない場合、特別な手続きは不要です。
ただし、入社対象者が中途社員で、普通徴収から特別徴収へ切り替える場合は、特別徴収切替届出(依頼)書へ必要事項を記入します。
また、入社対象者が中途社員で、前職と同じ特別徴収を希望する場合は、特別徴収にかかる給与所得者異動届書への記入が必要です。
備品の準備
新しい社員が入社する際は、備品の準備も重要です。必要になる備品は会社や部署によって異なりますが、以下のリストなどが挙げられます。
- 社員証
- 制服
- 名刺
- ロッカー
- 机
- パソコン
また、メールアドレスや社内イントラ用ID 、パスワードなど、インターネット環境も入社日までに整え、仕事に取りかかりやすくしてあげましょう。
入社の決め手として福利厚生や社内制度の良さも関係しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください!
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健康診断
従業員の入社手続きをする際、労働安全衛生法に基づいて会社側は健康診断を実施することが義務づけられています。そのため、入社手続きの1つとして、特定の11項目をそろえた健康診断を行いましょう。
ただし、入社対象者が、入社前3ヶ月の間に指定された11項目の健康診断を受けており、診断書を提出できる場合は、あらためて健康診断を行う必要はありません。
入社後はメンタル面のフォローも大切!詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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人事労務におすすめのシステム3選
この記事では、入社手続きについて紹介してきました。これらの様々な入社手続きを、不備のないように期日を守って行うには、多大なる労力が必要であるといえます。
そのような労力や負担を軽減させるためには、人事労務管理システムの導入がおすすめです。人事労務管理システムは、様々な作業をWeb上で効率よく確実に行えます。
ここでは、人事労務におすすめのシステムを3つ紹介していきましょう。
ジンジャー人事労務
jinjer株式会社の「ジンジャー人事労務」は、人事管理や年末調整などをペーパーレス化し、書類の紛失や記載ミスなどで起こる差し戻しを最小限に減らして作業を効率化できるシステムです。
入社前に、Web上で名前や住所、マイナンバーなどの個人情報を入力してもらうことができ、人事担当者の負担を大幅に削減できます。また、入社対象者に入力してもらう項目を自由にカスタマイズできる点も魅力の1つです。
入社予定者が、会社のメールを確認し回答しているかどうか、回答状況のチェックも簡単に行え、未回答の入社対象者には再度メールを送ることができます。
給与計算や勤怠管理などができる同シリーズとの連携も可能です。
SmartHR
株式会社SmartHRの「SmartHR」は、人事や労務手続きを一元化して管理し、組織改善を実現する人事労務システムです。登録者数は50000社以上にもなり、様々な業界で多くの企業に利用されています。
これまで時間を取られていた労務手続きの書類回収やチェック作業を効率化し、自動で更新されるデータベースへ集約してくれます。
採用や入社時はもちろん、年末調整や人事評価のタイミングなど様々なシーンで活用できるでしょう。
オフィスステーション労務
株式会社エフアンドエムの「オフィスステーション労務」は、人事に関わる情報収集、申請、管理などの煩雑な業務を効率化するシステムです。手続きがペーパーレス化されているため、紙の配布・回収工数や紛失・誤配送リスクをゼロにできます。
また、24時間365日の監視体制が整っている金融機関並みの高いセキュリティ性も、導入を考えている企業にとって嬉しいポイントです。
まとめ
採用された従業員が企業の一員として働き始め、即戦力として活躍するためには、入社手続きを迅速かつ確実に行い、働きやすい環境を整える必要があります。
この記事を参考に、入社手続きの内容をきちんと理解し、必要な手続きを漏れなく行うことで、スムーズな入社を目指しましょう。
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