今回のテーマは、『内定辞退を防ぐオヤカク対策』についてです。
人事の皆さんは、大体夏ごろになると “内定者が出て一安心” “あとは内定承諾を待つのみ” “もう口頭では承諾を受けているから大丈夫!”などと思っていませんか?
実は、まだまだ安心はできません。
そこで今回は、今新たな就活ワードとして話題を集めている『オヤカク』について、解説をはじめ、経緯や対処法、そして、「学生」「親」「人事」の三者が思う『オヤカク』まで、余すことなくお届けしたいと思います!
内定式までしたのに、あと一歩のところで辞退された・・・そんなご経験も、実はオヤカクが鍵を握っていたのかも!?話題沸騰の新就活ワードを徹底解明していきましょう!
そもそも、オヤカクとは?
最近ようやく浸透してきたこのワードですが、まだまだ「何それ?」と思う方もいるのではないでしょうか。意味自体は非常に簡単です。
『オヤカク』とは、内定予定者の親に内定承諾の確認を行うことを意味します。そのままですね。
「オヤカク」で行われていること
では実際には、どういったことが行われるのでしょうか。
実例としては、
- 人事担当者が挨拶を兼ねて親に電話。
- 親にも同意書を書いてもらう。
- 内々定後に親宛に手紙を送付する。
といったことがあるそうです。
学校入学ならまだしも、社会人として会社に入社するうえで行われていることです。もう大人なのに!?と、最初は戸惑ってしまうことも少なくないようですね。
企業がオヤカクをはじめた理由
企業がオヤカクを行うようになった大きな理由。
それは、就職活動に親が関与してくることが急激に増えたという点にあります。その名の通り、内定者の辞退理由が「親の反対です」というケースが近年増えているようなのです。驚きですね…。
企業側にとっては、時間をかけて選んだ内定者が最後の最後で辞退すれば、これまでのプロセスが全て無駄になってしまい、それからの優秀な人材確保は非常に困難となります。
そのため、企業側は「親の反対による内定辞退」を避けるための対策として、「オヤカク」を実施するようになった・・・というのが主な経緯なようです。
どうしてそこまで子どもの就職活動に干渉するようになった?
それは、少子化により子どもの数が減ったことで、親による子どもへの干渉が強まったことが背景として考えられます。
また、様々なメディアで企業の番付が行われていることで、先走ったイメージや印象が飛び交っていることも理由の一つと言えるでしょう。
さらには、違法労働をさせるような「ブラック企業」の報道も過熱しており、そういった企業への就職を警戒するあまり、子どもの就職活動への関心が強まった可能性もありますね。
親が内定先に反対する理由とは?
こちらも対策を練る上で是非とも抑えておきましょう。
親が内定先に反対する理由
親が反対する理由。主に挙げられるのは、
- 内定先の将来が不安
- 大手企業に入社してほしい
- 中小企業やベンチャー企業だから
- 労働環境が悪いから
- 親のそばから離れてほしくないから
といったケースが多いようです。
「大手の企業に行ってほしい!」 「中小企業・ベンチャー企業だから!」という理由は、子どもが心配だからという背景もありますが、それ以上に、親に「大企業=安定」という価値観が根付いていることが大半です。
世代としては「大企業であれば安定である!」というイメージを強く持っている人が多い世代になりますので、福利厚生があまり整備されていない中小企業やベンチャー企業に対しては、「労働環境も悪いんじゃないか!?」と不安を持ってしまうのでしょう。
「そばにいてほしい」子離れできない親都合の理由
しかし!中には、単に親の都合による反対理由も含まれています。
「親のそばにいてほしい」という理由から、一人暮らしを許さなかったり、卒業した後に帰郷を強制したりするケースは実際にあります。
これは、親が子離れできないことが背景として考えられます。
そのため、親から内定先に就職することを反対されたら、親の言いなりになってしまう場合や、反対を押し通されてやむを得ず内定辞退をしてしまう就活生も増えているようです。
もちろん、各々家庭の事情がある中だと思いますが、過保護や寂しいといった理由で子どもの将来を変えてしまう現実は個人的にあまり頷けるものでは無いように思います。
人事担当者の方は、“どんな理由で反対しているのか”の見極めが難しい問題となってくるようですね。
ここまでする!?オヤカク対策例
企業が行うオヤカクは、前述でお話したご挨拶や内定承諾だけではありません。説明会から内定後のフォローまで様々な段階で行っている事例を紹介いたします。
説明会の開催
内定者の親向けに「なぜ、お宅の子が内定になったのか」を説明します。
送付物
会社パンフレットや企業DVDだけでなく、内定式の様子を撮った写真や映像なども送る。
親向け採用ページ
企業の採用ページに学生向けだけでなく、親向けの問い合わせページを別に作成する。
内定者懇談会
内定者が集う懇談会に、親を招待する。
家庭訪問
実際に人事が内定者の実家に出向き、親と対面で話す。
財務諸表等の経営状況を説明する
親向けの企業訪問にて説明の場を設ける。
正直、ここまでしなきゃいけないのか!!と思いますよね。しかし、これこそが現時点で言われるオヤカク対策なのです。ギャップと戸惑いを隠せない人事様のお気持ち、よく分かります。
学生・親・人事の三者はどう思っているのか!?
これまでオヤカクの実態や対策事例などをお話してきました。
が・・・
肝心の当事者である「学生」・「親」・「人事」の三者はどう思っているのでしょうか。それぞれの意見をまとめました!
約3割がオヤカク賛成派?学生側の意見
- 就活生3割強がオヤカクに賛成派!
- 「両親も納得の企業じゃないと」「お互い納得したい」といった声があった。
- 反対派の学生も多数。
- 「自分が決めたことを信用してほしい」「反対されても関係ない」という意見も。
オヤカクはやりすぎじゃない?親側の意見
- 日経調査では意外にも5割の親がオヤカクに反対派!
- 「アドバイス」はしたいけど、「オヤカク」はやり過ぎといった声。
- 自分の人生を自分で歩むという基本的なことを奪いかねない。
- 一方でオヤカク賛成派の親からは、「隠れブラック企業は子どもに判断できない!」と心配するがゆえの声もあった。
- 勤めている人が大丈夫なのか、雰囲気はどうなのかを総合的に判断したい!と、子ども以上に心配している親も当然いる結果となった。
「過保護じゃないか…」人事側の意見
- 「必要ない」「過保護だと思う」という意見が大半。
- 中には、「そもそもオヤカクが必要な子は自社に不要」といった厳しい声も。
- しかしそんな中、「今の時代は仕方ない」と、オヤカクを採用の新トレンドだと捉えている人事担当者の意見もあった。
三者の意見を並べてみると、色んな立場や時代の流れ、価値観などから様々な理由での賛成派と反対派の声が飛び交う結果となりました。
皆さんも個人的な意見や価値観はそれぞれあるかと思いますが、こうして客観的に見てみるのも採用業界に関わる者として大変興味深いものだと思いました。
目まぐるしく変わっていく採用市場なので、もしかしたら数年後には全く違う意見が飛び交っている・・・なんて可能性も十分に考えられます!
今後のオヤカク事情からも目が離せません!
まとめ
以上、『内定辞退を防ぐオヤカク対策』についてお届けしてきました!
簡単にまとめると、親御さんは安定と安心を企業に求めています。
場合によっては、企業のトップ自らが「大事なお子さんを私たちに任せてください。必ず1人前の社会人に育てます」という決意を見せることも必要なんだとか。
ですが、こういったオヤカク対策は、内定辞退を防止したり、入社後のトラブルを回避したりするだけでなく、実は離職率を下げることにつながるメリットがあります!
入社3年以内の離職率が30%前後であることを考えると、親に理解してもらうことで企業側の味方になってもらい、学生が転職を考え始めた時に引き留めてもらう効果も期待できるのです。
現代学生の心を掴むには、学生への内定フォローだけでなく、親御さんへのフォローも同じぐらい重要なことがよく分かりますね。人事様にとっては大変な時期は続きますが、キャリアマートでは、今後もお役立て頂ける情報をお届けしたいと思います!
今回は、『人事が恐れる内定式後の内定辞退』についてお届けします。実際に、聞くだけでもあまり良い響きではないですよね。この売り手市場採用を制し、内定承諾を勝ち取ったばかりなのに・・・ 一般的に内定式は大体10月頃に行われることが[…]